「システムで考える〜クッキング編(後編)〜」(Vol.14)

「最低200ccの水を沸騰させる」 この前提に用途をしぼり、従来とは異なる枠組みの中でハイキング用ストーブを考えてみました。そこで今回はクッカーです。ここでも「調理」というよりも「湯沸し」に焦点をあてることでウルトラライト化を考えてみます。
○容量
ソロ用コンパクトクッカーの容量は700cc〜900ccが現在の主流です。一人分の調理をクッカーでおこなうには、パスタ100gを茹でる場合は1000cc前後、米1合を炊く場合は700cc前後、煮込式のフリーズドライ食品1食の場合は600cc前後がクッカー容量として必要になります。ソロ用クッカーの容量はこれを念頭においているといえますし、主食&副食という組み合わせの場合はクッカーの数も2個以上が必要になってきます。そこでクッカーのウルトラライト化を実現するには「最低200ccの水を沸騰させる」という前提にこだわって考えることが必要になります。本稿Vol.12で述べたように熱湯を注ぐタイプのフリーズドライ食品、粉末スープ、コーヒーなどに必要な湯量は200cc程度です。したがってクッカーで煮炊きせず、「湯沸し」にのみ用途を絞ればクッカーの容量は200cc以上ならばこと足りるといえるのです。
1) 容量:200cc〜300cc (チタン製で重量40〜50g程度)
これ以上削ることが困難な完全ミニマム容量。食事、スープ、コーヒー等1回毎に湯沸しをする必要があるので手間は増えるが、最大限の軽量化が実現できる。
2) 容量:400cc〜500cc (チタン製で重量60〜70g程度)
食事とスープの2つ分の湯量を一度に沸かせる容量。アルコールストーブ派ならば何度もプレヒートする必要がなくなるので消費燃料の削減もはかれる。温かい飲料を一度にたくさん用意できるのも魅力。
以上のサイズは「クッカー」というよりも「カップ」のサイズです。湯沸しだけと割り切ればカップで十分まかなえるのがわかります。蓋の用意には工夫が必要ですが、それも楽しみのひとつ。そしてアルミホイルでも十分代用できます。もちろんカップはチタン製を選びましょう。
○ジップロック&コジーの活用
これでストーブとクッカーが決まりました。ふたつあわせても重量100g程度のウルトラライト。必要な200ccのお湯が沸いたら、フリーズドライ食料と熱湯をジップロック(注1)の中であわせます。空気を抜いて密封したら、しっかり馴染ませコジー(注2)に入れて蒸らし保温します。
コジーに入れれば、メーカー指定の調理時間の約半分程度(注3)でできあがります。食事を待つ間は景色を眺めつつ、コーヒーやお茶を楽しみましょう。贅沢なひと時です。
調理と食器にジップロックを使えば、クッカー(カップ)を汚さないので、食後のクッカー洗いの手間だけでなく、水やペーパーも節約できます。2食分を一度に作っても半分をしっかりと密封保管できます。使用後はゴミ入れとしても重宝します。コジーはちょっとした贅沢品かもしれませんが、暖かい食事が楽しめること、調理時間が短くなることは大きなメリットです。30g程度の重量なので朝、夕の寒さが厳しい春&秋のシーズンは有効活用したいところです。
ハイキングで暖かい食事とコーヒーを楽しみたい・・・
自然の中で食事を作り、楽しみ、絶景をひとりじめしてのコーヒータイム、
こんな小さく軽い道具でも贅沢な時間と優雅な気持ちが楽しめるのです。
ウルトラライトなクッキングシステムとは・・・
「用途と必要な機能を絞り込むことが大前提」
「無雪期ならばアルコールストーブや固形燃料、200cc程度のカップで対応可能」
「ストーブ&クッカーで重量200g以下が目安、100g以下を目指してみよう」
「水筒、食器などその他を含めたトータル重量400g以下が目安」
注1)熱に強く、密封性が高いジップロックのフリーザーパックなどが適しています。
注2)エアパッキンの両面に薄いアルミ材を接着した保温材。クッカーごと入れられるタイプ、袋状のタイプ、シート状のタイプなど、様々な種類があります。保温材としての効果は非常に高く、熱湯を注いで調理したフリーズドライならば2時間程度は暖かさが持続します。
注3)尾西食品のアルファ米シリーズはお湯を注いで15〜20分間というのがメーカー指定時間ですが、コジーを使えば7〜8分程度でできあがります。 |